オフェンス戦術
オフェンス コンセプト:パス
代表的なパスコンセプトを、フィールド図(オフェンス/ディフェンス配置 + ルート)とあわせて解説。
フォー・バーティカルズ FOUR VERTICALS
隊形: 2×2 ショットガン
4人の適格レシーバー全員が同時に縦へ走り、1セーフティ守備(カバー3など)のディープゾーンを横方向に伸ばして薄くする、バーティカルパスの基本形。
| ルート | 説明 |
| アウトサイド バーチカル(X・Z) | 外側の2人はナンバー際をストレートに縦走。 |
| シーム(H・Y) | 内側2人はハッシュとナンバーの間のシームを縦走し、SとCBの間を突く。 |
読み(プログレッション)QBはミドルの単一Sがどちらに寄るか(バイアス)を見極め、空いたシームまたは外側のバーチカルを選択。
効果的な守備状況カバー3(1セーフティ)への典型的な攻略パターン。カバー2にはシームがLBとSの間のホールを突く。
ディフェンスの対抗策単純なスポットドロップのカバー3ではなく、Sがルートに応じて反応するパターンマッチ(マッチ3/クオーターズ)にすることでバーチカルへの対応力を上げる。2ハイ(カバー2/4)をベースにして頭上を割られないようにし、CB/LBがシームランナーをリルート(再方向づけ)してタイミングを崩す。プレースナップでシェルを隠し、スナップ後に回転して読みを迷わせるのも有効。
レベルズ LEVELS
隊形: 2×2 ショットガン
同サイドに深さの異なる2本のイン系ルートを重ね、フックゾーンを守るLB1人を高低(2レベル)で挟み込む。
| ルート | 説明 |
| 浅いイン(H, ~5yd) | スロットがLOS際の浅い深さでインへ。 |
| 深いディグ(X, ~14yd) | アウトのレシーバーが浅いルートの後方(奥)を同方向にディグ。 |
| カムバック(Z) | 逆サイドは深めのカムバックでバランスを取る。 |
| ドラッグ(Y) | 逆サイドのTE/スロットは浅いドラッグでチェックリリース。 |
読み(プログレッション)フックゾーンのLBが浅いインに食いつけば奥のディグへ、下がれば浅いインへ。
効果的な守備状況カバー3 / タンパ2のホールLB(フックゾーン)を攻略する定番コンセプト。
ディフェンスの対抗策ホールLB1人に任せず、パターンマッチゾーン(リップ/リズ マッチ3)で浅いドラッグを別のアンダー守備者に受け渡し、LBは深いディグの警戒に専念できるようにする。カバー4にしてSにもう1人アンダーを助けさせたり、中央に「ラット」を置いて高低のストレッチを分散させるのも効果的。
ダガー DAGGER
隊形: 2×2 ショットガン
ストロングサイドの縦のクリアアウトでディープカバレッジを引き上げ、その下(LBとSの間)にできた窓へスロットが深いディグ(通称「ダガー」)で座り込む2段構えのコンセプト。バックサイドの浅いドラッグが安全弁になる。
| ルート | 説明 |
| ダガー(深いディグ, Y ~15yd) | スロットがLBの奥・Sの手前でディグにブレイクし、生まれた窓に座る。メインターゲット。 |
| クリアアウト(Z) | 外のレシーバーが縦に走り、ディープカバレッジを一枚剥がす。 |
| 浅いドラッグ/スポット(X) | 逆サイドのレシーバーが浅くクロスし、LBが下がった場合の安全弁に。 |
| バックサイド アウト(H) | 逆サイドのスロットが短いアウトで手前の守備者をホールド。 |
読み(プログレッション)クリアアウトでディープを剥がした後、ダガー(ディグ)がLBの奥に座る窓を最優先。LBがディグに食いつけば浅いドラッグへ落とす。
効果的な守備状況カバー3 / カバー4(クオーターズ)のホールLBとディープゾーンの間のホールを攻略する代表的コンセプト。
ディフェンスの対抗策クオーターズ/カバー4でSにディグの上をカバーさせ、LBは#2のリリースに合わせて外へ広がってから素早くディグのレーンへ戻る「パターンマッチ」の技術で窓を消す。クリアアウトの縦ルート自体をプレスで遅らせるのも有効。中央に「ラット」を置いてディグの着地点そのものに座らせるゾーンプレッシャーも対策になる。
スマッシュ SMASH
隊形: 2×2 ショットガン(両サイドミラー)
外側の短いヒッチと内側の深いコーナールートでCBを高低に挟む、カバー2キラーの代表的コンセプト。
| ルート | 説明 |
| ヒッチ(低, ~5yd) | 外のレシーバーが浅いヒッチで座り、フラット/CBを引きつける。 |
| コーナー(高, ~12-14yd) | スロット/TEがヒッチの頭上を超えてコーナーへブレイク。 |
読み(プログレッション)CBがヒッチに反応すればコーナールートへ、深く残ればヒッチへ投げる。
効果的な守備状況カバー2で浅いゾーンを守るCBを標的にする。
ディフェンスの対抗策そもそもカバー2を避けてカバー3/4(クオーターズ)にすれば、外のSがコーナールートにアウトサイド・レバレッジで対応でき、CBはヒッチに集中できる。カバー2を使う場合も「2-リード(パターンマッチ)」にして、#2がバーチカル/コーナーで脅かした時だけCBがヒッチを離して深さを取る、というルール化が有効。
フラッド FLOOD
隊形: 3×1 トリップス
トリップスサイドに深さの異なる3段階のルートを重ね、1人のCBに複数レシーバーを同時に守らせる「フラッド(氾濫)」を作るサイドライン攻撃。
| ルート | 説明 |
| ディープ(Go) | 一番外のレシーバーがディープに走り、ディープゾーンをクリア。 |
| セイル/アウト | 2番目のレシーバーが12〜14ydでサイドラインへブレイクし中間層を占有。 |
| フラット | 一番内側のレシーバーが浅いフラットへ流れる。 |
| バックサイド ヒッチ | 逆サイドの単独レシーバーはヒッチで簡易ケア。 |
読み(プログレッション)ディープ→セイル→フラットの順で高低を確認し、CBがどのレベルを捨てたかで判断。
効果的な守備状況カバー2の外側CBやフラット/半分ゾーンの守備者を的にする。
ディフェンスの対抗策CBは飛びつかず「シンク&スクイーズ」でセイル/アウトを絞り、フラットは他のアンダー守備者(LB/NB)に受け渡すパターンマッチ(カバー6や2-リード)が有効。トリップス側にSを寄せて1人増やす「ソロ/ポーチ」ロールで数的不利を解消するのも定番の対策。
メッシュ MESH
隊形: 2×2 ショットガン
2人のレシーバーがLOSから4〜5ヤードの浅い深さで互いに逆方向へクロスし、「メッシュポイント」と呼ばれる交差点を作る。マンカバレッジでは天然のピック(スクリーン効果)が生まれ、ディフェンダーが引っかかりやすい。
| ルート | 説明 |
| 浅いドラッグ①(H) | H がLOS際でシャロークロス。マン相手のメインターゲット。 |
| 浅いドラッグ②(Y) | Y がHよりわずかに浅い深さで逆方向にクロスし、メッシュポイントを形成。 |
| クリアアウト(X) | X は縦に深く走り、アンダーニースペースからディフェンダーを排除。 |
| ハント/座り(Z) | Z はゾーン相手に中間深度(10〜12yd)で空いた窓に座る。 |
| スウィング(RB) | RB は逆サイドへ流れるチェックダウン、最終安全弁。 |
読み(プログレッション)マンカバレッジならクロスの分離を最優先。ゾーンならハント/座りルートかクリアアウトで生まれた窓を使う。
効果的な守備状況カバー1(マンフリー)などマンカバレッジに特に有効。LBやNBの追走を渋滞させる。図はスラント・フラットと同じ2ディープのカバー2ベースの形(CB2・LB3・S2)を例示。
ディフェンスの対抗策マンで追う際はメッシュポイントで交差する2人を「スイッチ(バンジョー)」して受け渡し、ピックに引っかからないようにする。根本的にはゾーンカバレッジ(カバー2/3)で受け渡しを不要にするのが簡単な対策。さらに中央に「ロバー(スパイ)」を置いてクロスのレーンに座らせたり、リリース時にプレスでタイミングを崩すことも有効。
スラント SLANT
隊形: 2×2 ショットガン(両サイドミラー)
クイックゲームの代表格。スラントとフラットで浅いレベルの守備者(フラット/カールディフェンダー)を高低に引っ張る、素早いタイミングパス。
| ルート | 説明 |
| スラント | 外のレシーバーが3〜5ydで内側へ鋭くブレイク。 |
| フラット | 内側のレシーバー(またはRB)がすぐ外のフラットへ流れる。 |
読み(プログレッション)フラット担当の守備者がスラントに食いつけばフラットへ、外に開けばスラントへ投げる。
効果的な守備状況オフマンカバレッジやカバー3のフラット責任者(CB/OLB)を攻略。図は2ディープのS(S・S)を置くカバー2ベースの形を例示。
ディフェンスの対抗策フラット/カール担当は先にQBの目線・肩の向きを読み、どちらかに早く飛びつかない「ハイロー・ディシプリン」を徹底する。プレスマンでスラントのリリース自体を乱すのも直接的な対策。パターンマッチカバー2(2-リード/タンパ2)でCBがスラントに詰め、Sが外側を助けるルール化も有効。
スティック STICK
隊形: 2×2 ショットガン
スロット/TEの「スティック」(座るルート)、RBのフラット、外のフェイドで三角形(トライアングル)を作り、カール/フラット担当の守備者を1人で2方向に引っ張るクイックゲームの定番コンセプト。
| ルート | 説明 |
| スティック(Y, ~5-6yd) | スロット/TEが浅くリリースしてから座り、最寄りのLBから逃げる位置を取る。トライアングルの要。 |
| フラット(RB) | RBが同サイドのフラットへ流れ、スティックとの高低(内外)関係を作る。 |
| フェイド/クリアアウト(Z) | 外のレシーバーがフェイドで深いカバレッジを剥がし、一発の可能性も残す。 |
| バックサイド ヒッチ(X) | 逆サイドは浅いヒッチで単純にケア。 |
| バックサイド アンダー(H) | 逆サイドのスロットは短いアンダー/ホットで安全弁に。 |
読み(プログレッション)カール/フラット担当がフラット(RB)に反応すればスティック(Y)へ、スティックに食いつけばフラットへ。深いカバレッジが浅ければフェイドで狙う。
効果的な守備状況ゾーンブリッツやカバー3のカール/フラット担当を三角形の読みで挟む、スプレッドオフェンスの定番。
ディフェンスの対抗策カール/フラット1人に三角形を単独で守らせず、内側のLBやSと「ブラケット」させてスティックを2人がかりで挟む(パターンマッチ)のが根本対策。CBはフェイドの受け手をプレスで遅らせて一発を防ぎ、ショートに投げさせてアンダーで刈り取る。ゾーンブリッツで読みのタイミングを崩すのも有効。
各図は概念説明用の簡易ダイアグラムである。実際の深さ・調整はチーム/コーチのルールにより異なる。